解説!日本の産業革命と学問や文学
開国を行った日本は、明治の新しい政府のもとで産業の発展をめざし、19世紀末~20世紀のはじめ(1800年代末~1900年代のはじめ)、日本の工業は大きく変化しました。
またこの時代には、学問の分野で世界レベルの活躍をする日本人があらわれたり、今に残るすぐれた文学作品などがつくられました。
このページでは明治時代の日本の産業変化と、同じころに学問や文学などの分野で活躍した人物を取り上げています。
このページの歴史年表
時代 | 年代 | 主なことがら |
明 治 時 代 | 1868 | 慶応義塾ができる |
1872 | (富岡製糸場) | |
1882 | 東京専門学校ができる | |
1900 | 女子英学塾ができる | |
1901 | 足尾銅山の問題 | |
登場人物やキーワード | ||
産業革命 軽工業 重工場 田中正造 公害 |
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人物の業績 | ||
福沢諭吉 | 慶応義塾 | |
大隈重信 | 東京専門学校(早稲田大学) | |
津田梅子 | 女子英学塾(津田塾大学) | |
北里柴三郎 | 破傷風・ペスト菌発見 | |
志賀潔 | 赤痢菌発見 | |
野口英世 | 黄熱病研究 | |
新渡戸稲造 | 国際親善 | |
夏目漱石 | 「坊っちゃん」 | |
与謝野晶子 | 「みだれ髪」 | |
樋口一葉 | 「たけくらべ」 | |
滝廉太郎 | 「荒城の月」 |
日本の産業革命
ひとつひとつ小さな規模で物をつくる生産から、設備のととのった工場で大規模に物を生産するようになり、産業の様子が大きくかわることを産業革命といいます。
イギリスで最初に産業革命がおこってから約100年後、日本でも産業革命がおこりました。
軽工業の変化
政府は民間の産業を育てるため、国がつくった官営工場を民間の商人(一般の会社)に安く売りはらいました。これによって民間で生糸や綿糸、綿織物など(せんい工業)の軽工業の生産がさかんになり、外国にたくさん輸出されました。
<生糸とは?>
カイコの繭からとれる糸。
<綿糸とは?>
植物の綿花からとれる糸。
日清戦争(1894~1895年)のころに日本は、軽工業で産業革命がおこりました。
重工業の変化
日清戦争で清からもらった賠償金をもとにして、北九州に官営の八幡製鉄所がつくられ、鉄の生産がふえました。そして、戦争の武器や乗り物をつくる軍事工場、機械工場や船をつくる造船などの重工業が発展しました。
日露戦争(1904~1905年)のころに日本は、重工業で産業革命が進みました。
足尾銅山の公害と田中正造
栃木県の渡良瀬川の上流に足尾銅山が開かれましたが、工場から有毒な(体に悪い)けむりが出たり、鉱山からの排水で渡良瀬川の水がよごれ、魚や農作物に被害がでました。
衆議院議員の田中正造は、被害をうけた農民などを救うため、足尾銅山の被害を国にうったえつづけ、1901年には議員をやめ天皇に直接うったえかけました。
足尾銅山の問題は、日本で最初の公害問題といわれています。
<公害とは?>
人が経済や事業を行うことで、空気や水・土などが汚れたり、工場や道路で大きな音がしたりして、生活する人が健康を害したり迷惑を受けたりすること。
学問や文学で活躍した人たち
学校をつくった人たち
- <福沢諭吉・・・慶応義塾を設立>
「学問のすすめ」で人の自由や平等、権利の大切さ、学問の大切さを世にひろめた福沢諭吉は、慶応義塾を設立しました。
- <大隈重信・・・東京専門学校を設立>
立憲改進党をつくり、のちに内閣総理大臣となった大隈重信は、東京専門学校(のちの早稲田大学)を設立しました。
- <津田梅子・・・女子英学塾を設立>
日本で最初の女子留学生としてアメリカにわたった津田梅子は、帰国後に女子教育に力を入れ、女子英学塾(のちの津田塾大学)を設立しました。
学問や国際親善で活躍した人たち
- <北里柴三郎>
ドイツに留学し破傷風の治りょう法を発見した北里柴三郎は、帰国後はペスト菌を発見しました。北里研究所をつくりました。
- <志賀潔>
北里柴三郎のもとで学んだ志賀潔は、赤痢菌を発見し、赤痢の治りょう法を見いだしました。
- <野口英世>
北里柴三郎のもとで学んだ野口英世は、アフリカのガーナでは黄熱病の研究をしました。
- <新渡戸稲造>
キリスト教徒の日本人として国際親善につくした新渡戸稲造は、のちに国際連盟の事務局次長となりました。
文学や音楽で活躍した人たち
- <夏目漱石>
尋常中学校や高等学校で先生をしていた夏目漱石は、その後イギリス留学などを経験し「吾輩は猫である」「坊ちゃん」などの有名な作品をのこしました。
- <与謝野晶子>
日露戦争で兵隊となった弟を思って「君死にたまふことなかれ」の詩で戦争に反対した与謝野晶子は、「みだれ髪」などが有名な作品です。
- <樋口一葉>
5千円札のお札に描かれている樋口一葉(女性)は24歳で亡くなりました。「たけくらべ」などが有名な作品です。
- <滝廉太郎>
24歳で亡くなり作曲家としての活動は短かった滝廉太郎ですが、「鳩ぽっぽ」「お正月」「荒城の月」など多くの人になじみのある曲を作りました。
解説!「30.明治時代⑥ 日本の産業革命と学問や文学」おしまい
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